「飲みたくならないんですか?」に対する私の答え

飲みたい気持ちはずっとある

イベントや講座でお話ししていると、ときどきこんな質問をいただきます。
「今でもお酒を飲みたいと思うことはありますか?」

私の答えは、
「はい、めちゃくちゃあります」です。

少し意外でしょうか。
「え、3年以上も断酒しているのに?」
そう思う方もおられるかもしれません。

断酒前の「飲みたい」の意味

毎日のように飲み、
休肝日がほぼなかった頃の私は、
嫌なことがあった日も、
仕事を頑張りすぎてフラフラな日も
まず頭に浮かぶのは「飲みたい」でした。

「飲まないと今日が終わらない」
「早くこのしんどさから解放されたい」
そんな感覚だったように思います。

お酒を飲むことで、ホッとする。
頭の中が静かになる。
今日一日を終えられる。

私にとってお酒は、そんな存在でした。


断酒後の「飲みたい」の意味

では今はどうでしょうか。

仕事で疲れる日もあります。
落ち込む日もあります。
切り替えが下手くそなので、
ミスを何日か引きずることもあります。

「はー、ビール飲みたい」
「濃い目のハイボール飲みたい」
そう思う日は何度もあります。

でも、そんなときは、
その言葉の裏にある気持ちに目を向けるようにしています。

「今日はほんまに疲れたな」
「自分結構頑張ったよな」
「認めてもらいたいな」
「休みたいな」

実は、求めているのはお酒ではない。
そのように気づけることがあります。

自分を支えるものが増えた

断酒したからといって、
疲れなくなったわけではありません。
嫌なことがなくなったわけでもありません。

むしろ、今までお酒で隠れていた自分の特徴
(切り替えの苦手さ、完璧主義、断るのが苦手、限界まで頑張りすぎる、など)
が浮き彫りになったような気がします。

でも、そんな自分も認めて向き合うことで、
自分を支える方法が少しずつ増えました。

ご飯を炊く。
自炊をする。
散歩をする。
ゆっくりお風呂に入る。
消しゴムはんこを彫る。

どれも最初からあったわけではありません。
少しずつ少しずつ、増えていったものです。

お酒は悪なのか?

私は、お酒を悪だとは思っていません。
あの頃のお酒は、
間違いなく私を支えてくれていました。

だから、「お酒をやめれば全部解決する。」
とも思っていません。

大切なのは、
「お酒だけに頼らないこと」なのだと思います。

疲れた日は、
誰かと話す。
外食でもいい。冷凍食品でもいい。
自分が食べたいものを食べる。
ゆっくり眠る。
趣味を楽しむ。

そんな選択肢が少しずつ増えていくことで、
お酒が担っている役割も少しずつ減っていくのではないでしょうか。

最後に

「今でも飲みたいですか?」
そう聞かれたら、
私はこれからも、「はい、飲みたいです」
と答えると思います。

ただ、その「飲みたい」の意味は、昔とはずいぶん変わりました。

以前は、お酒だけが私を支えてくれていました。
今は、お酒以外に私を支えてくれるものがあります。
だから私は、飲みたい気持ちを無理になくそうとは思いません。

「今日は疲れてるわ」
「自分頑張ったんや」
そんなふうに、自分の気持ちを教えてくれるサインとして受け止めています。

もし今、あなたがお酒を減らしたいと思っているなら、
「飲みたい」という気持ちを無理に抑え込まなくて大丈夫です。
その気持ちの奥には、きっと今のあなたに必要なものが隠れています。

減酒とは、お酒と戦うことではなく、
自分を知っていくプロセスなのです。

寺島 渚紗